パーヴォ・ヤルヴィ&パリ管によるプーランクの≪グローリア≫を聴いて
パーヴォ・ヤルヴィ&パリ管によるプーランクの≪グローリア≫(2012年録音)を聴いてみました。ソプラノ独唱はプティボン。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
パーヴォらしい、鋭敏で明晰な演奏が繰り広げています。輪郭が明瞭で、キリッと引き締まってもいる。力感に溢れていつつも、端然としている、とも言えましょう。
この作品は、敬虔さや、厳粛さや、諧謔性や、機知や、といったようなものがないまぜになっている音楽だと言えそうなのですが、ここでのパーヴォによる演奏では、厳粛さが引き立っているように思えます。そして、凝縮度の高い音楽となっている。それでいて、プーランクならではのウィットが仄かに立ち昇ってくる。清澄であり、晴れやかで、明朗でもある。そんなふうに表現できそうな音楽が鳴り響いています。
そのようなパーヴォの音楽づくり対して、パリ管が、ここでも艶やかで色彩感に満ちた音を奏で上げてくれていて、この演奏をより一層魅力的なものにしてくれている。
また、プティボンも、清澄かつ端正な歌を繰り広げてくれていて、パーヴォのここでの演奏ぶりに相応しい。
プーランクの演奏としては、ユニークな性格を持っていると思えますが、とても立派で、かつ、パーヴォとパリ管の魅力に溢れている、素敵な演奏であります。