シャハム&プレヴィン&ロンドン響によるバーバーとコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲を聴いて

シャハム&プレヴィン&ロンドン響によるバーバーとコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲(1993年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

バーバーは≪弦楽のためのアダージョ≫で有名なアメリカ人作曲家。ヴァイオリン協奏曲は1939年に生み出されています。
もう一方のコルンゴルトは、オーストリア=ハンガリー帝国に生まれ、のちにアメリカに渡って活動をした作曲家。≪死の都≫などのオペラを残したり、映画音楽を数多く手がけたりしています。ヴァイオリン協奏曲は1945年に作曲されている。
ということで、両曲は20世紀に作られた作品でありますが、前衛的な作風が採られている訳ではなく、ロマンティックな性格の濃い、聴きやすい音楽となっています。

そのような2曲を、シャハムは眩いほどに輝かしくて、艶やかで、美しく奏で上げてくれています。色彩鮮やかで、かつ、流麗でもある。洒脱でもある。肌触りや音楽の流れが、頗る滑らかでもある。連綿たる歌が湛えられてもいる。そのうえで、バーバーの最終楽章やコルンゴルトの両端楽章などでは敏捷性の高さが示されているなどして、技巧が冴え渡っている。
しかも、ムードに流されるようなことはなく、格調の高い音楽づくりが為されている。
瑞々しい感性と、確かな技巧と、率直な音楽づくりとが融合されたヴァイオリン演奏。そんなふうにも言いたくなります。
そのようなシャハムに対して、プレヴィンがまた、風格豊かであり、かつ、生彩感に満ちた音楽を奏で上げながら、存分にソロを盛り立ててくれています。シャハムとの呼吸感にもズレがない。そのうえで、大仰でわざとらしくならない範囲でドラマなティックな音楽づくりが為されている。そして、シャハムと同様に、凛々しくて、かつ、洒脱でもある。

ヴァイオリンを聴く歓びを堪能することのできる、素敵な音盤であります。