マリス・ヤンソンス&バイエルン放送響によるルトスワフスキの≪管弦楽のための協奏曲≫を聴いて

マリス・ヤンソンス&バイエルン放送響(BRSO)によるルトスワフスキの≪管弦楽のための協奏曲≫(2009年ライヴ)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

マリスは、「音楽する熱狂」に不足していると思える演奏を繰り広げることが多いように感じているのですが、この演奏では、そのような印象を抱くことはありません。そのうえで、マリスらしい、折り目正しい音楽が奏で上げられている。
基本的には、端正な音楽づくりが為されています。そのうえで、ダイナミックでもあるのです。全編を通じて、押し出しの強さが備わってもいる。
と言いましても、こけおどしなところは微塵も感じられません。凛とした佇まいが示されている。凝縮度が高くもある。
しかも、敏捷性が高くもある。律動感に溢れていて、音楽が存分に蠢いている。それは特に、第2楽章において顕著。また、最終楽章などでは、緊迫感に満ちた音楽が鳴り響いている。
ケバケバしくならない範囲で、十分に輝かしくもある。そして、マリスとしては、かなり鮮烈な音楽となっている。更には、精妙な音楽が奏で上げられている。この「精妙さ」は、多くのマリスによる演奏からも窺えるものだと言えましょう。
そのようなマリスの音楽づくりに対して、BRSOの機能性の高さが、この演奏をより一層魅力的なものにしてくれています。頗るクリアな音楽となっている。しかも、力強さにも不足はない。そう、緻密にして、強靭な音楽が掻き鳴らされることとなっているのであります。

マリス&BRSOというコンビの魅力が、そこここに散りばめられている演奏。そのことによって、この作品が頗る魅力的に描き上げられることとなっている。
聴き応え十分で、なんとも素敵な演奏であります。