ムーティ&フィルハーモニア管によるオルフの≪カルミナ・ブラーナ≫を聴いて
ムーティ&フィルハーモニア管によるオルフの≪カルミナ・ブラーナ≫(1979年録音)を聴いてみました。
なんともダイナミックな演奏であります。誠にエネルギッシュでもある。そう、情熱のマグマで、あちこちで噴出している。
随所で、音楽を煽りに煽って、畳みかけてくる。それはもう、若々しい生命力に溢れた音楽が鳴り響いています。ピチピチとした演奏ぶりだとも言えそう。その様は、誠にストレートで、清々しさを覚えるほど。そして、なんともスリリングな演奏が繰り広げられている。
良い意味での凶暴さが感じられもします。それは、この作品が本来的に備えているものだと言えましょう。それでいて、野蛮と言うのとも違う。土俗的というよりも、洗練味が感じられる。そのうえで、燦然たる輝かしさや、朗らかさが横たわっている。音楽が嬉々として弾けてもいる。
しかも、清澄さや瑞々しさを備えてもいる。抒情的なナンバーでは、詩情豊かで、透明感のある繊細な演奏が繰り広げられている。そんなこんなによって、大きな起伏が取られている演奏ぶりとなっているのであります。ドラマ性が高いとも言えましょう。演奏全体から、情感の豊かさが感じられもします。
当盤は、ムーティが38歳になる年の録音。
若き日のムーティの魅力がギッシリと詰まった快演。そんなふうに言えるように思います。