マケラ&オスロ・フィルによるシベリウスの交響曲第5番を聴いて

マケラ&オスロ・フィルによるシベリウスの交響曲全集から第5番(2021年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。

マケラは、1996年にフィンランドに生まれた、今年27歳になる指揮者。2020年に24歳でオスロ・フィルの首席指揮者に就任、同年にはパリ管弦楽団の次期監督に決定し2021年に着任しています。また、2022年には2027年からコンセルトヘボウ管の首席指揮者に就任することが決定。まさに、飛ぶ鳥を落とす勢いで世界の音楽界に躍進している俊英と呼ぶことができましょう。
2018年には都響を指揮して日本デビュー、昨年にも4年ぶりに同楽団の指揮台に登り、かつ、同年にはパリ管弦楽団との来日を果たすなど、日本の聴衆にも彼の名前はかなり浸透してきているように思えます。
このシベリウスの交響曲全集は、そのようなマケラのデビュー盤になります。

さて、ここでの演奏はと言いますと、どっしりと構えた演奏ぶりでありつつも、瑞々しい感性に裏打ちされていて、清々しい音楽が響き渡っています。
テンポはやや遅め。先を急ぐようなことはなく、音楽を煽り立てるようなこともなく、じっくりと鳴らし切っています。この作品が備えている壮大な性格も、見事に描き上げられている。最後の箇所では、壮麗なクライマックスが築かれていて、誠に感興の豊かな音楽となっている。
しかも、音楽の芯がシッカリとしていて、逞しさを備えている。全編を通じて、生命力の豊かさが感じられるのであります。
それでいて、音楽がダブつくようなことはありません。音楽がスッキリと佇まいを示している。そのために、充分に壮麗でありつつも、フレッシュで生きの良さが感じられる。身のこなしがしなやかでもある。

マケラの豊かな音楽性がギッシリと詰まっている、素敵な素敵な演奏であります。