ショルティ&バイエルン放送響によるR・シュトラウスの≪アルプス交響曲≫を聴いて
ショルティ&バイエルン放送響によるR・シュトラウスの≪アルプス交響曲≫(1979年録音)を聴いてみました。
生気が漲っていて、精悍な演奏であります。
この辺りは、いかにもショルティらしい演奏ぶりだと言えましょう。しかしながら、シカゴ響との演奏の時にしばしば見せるような、切れ味の鋭さを前面に押し立てた演奏にはなっていません。冷徹とも言えるような演奏にもなっていません。もっと、人肌の暖かみのようなものが感じられる。それは、バイエルン放送響の体質にも依るのでしょう。
それでいて、充分に豪快で、勇壮な演奏が繰り広げられています。スケールが大きく、壮麗でもある。必要以上に華美ではないものの、充分に絢爛豪華でもある。そういった演奏ぶりは、≪アルプス交響曲≫の音楽世界に、誠に似つかわしい。
更に言えば、骨太で、壮健な演奏となっている。ドラマティックでもある。そして、過度に煽情的になっている訳ではないものの、充分にスリリングでもある。
この作品の世界にドップリと身を浸すことのできる、聴き応え十分な、素敵な演奏だと思います。