ロストロポーヴィチ&ザンデルリンク&レニングラード・フィルによるプロコフィエフの≪交響的協奏曲≫を聴いて

ロストロポーヴィチ&ザンデルリンク&レニングラード・フィルによるプロコフィエフの≪交響的協奏曲≫(1954年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。

雄弁にして、逞しい演奏であります。
ロストロポーヴィチは、この作品の改作(1938年に完成しているチェロ協奏曲第1番を、1952年に改作しています)に協力し、完成後には献呈を受けているのですが、まさに、作品の隅々まで知り尽くしている演奏ぶりだと言えそう。荒々しいのだが、粗削りな演奏ぶりにはなっておらず、巧緻にして力強い。朗々としていて、響きは美しく、語り口が滑らかでもある。そして、音楽が豊かに息づいている。
どこにも作為が無く、何もかもが自然で、あるべきところに音楽が収まっている、という感を強くします。とても真摯でもある。そのうえで、重層的に響き渡っていて、分厚い音楽となっている。しかも、切れ込みが鋭くて、鮮烈を極めている。
作品の性格もあって、凄絶であるとも言えそう。そう、聴いていて、戦慄を覚える音楽となっているのであります。
そのようなロストロポーヴィチをサポートしているザンデルリンクがまた、意気軒高な演奏を繰り広げてくれています。骨太でもある。それでいて、ロストロポーヴィチと同様に、巧緻にして鮮烈でもある。

チェロの作品の中では重要なレパートリーの一つとなっていますが、それでも、今一つメジャーになり切れていないようにも思える、この作品。
そのような中で、作品の魅力を存分に味わうことのできる素晴らしい演奏として、多くの音楽愛好家に聴いてもらいたい音盤であります。なお、モノラル録音でありますが、音像はクッキリとしていて、鑑賞するには全く支障のない音質だと言えましょう。