バルビローリ&ハレ管によるニールセンの≪不滅≫を聴いて

バルビローリ&ハレ管によるニールセンの≪不滅≫(1959年録音)を聴いてみました。

ニールセンの音楽は、イギリス音楽に似た性格を持っているように思っています。特に、エルガーに似ているように思える。
威風堂々としていて、壮麗で、格調が高い。そう、そこには「ノビルメンテ」と呼べるような雰囲気が備わっている。そのうえで、ニールセンの音楽には、イギリス音楽には薄いシニカルな性格が加えられているように思うのです。
このバルビローリによる演奏を聴きますと、イギリス音楽への近似性がより一層強く感じられます。ここで繰り広げられている演奏は、まさに威風堂々としたもの。気宇が大きくて、広々とした世界が横たわっている。
しかも、覇気に溢れていて、力感に満ちています。音楽全体に、逞しい生命力が漲っている。熱気がひしひしと伝わってきて、ドラマティックでもある。それでいて、誇張の無い演奏ぶりで、凛としていて、端然とした音楽が鳴り響いている。音楽づくりが、頗る克明でもある。
最終楽章でのティンパニの連打も、外面的な効果を狙ったようなものではなく、純音楽的に打ち鳴らされている、といった感じ。腹にズシリと響いてくる音楽、とでも言えようか(この点については、ティンパニの連打に限らず、演奏全体を通じて当てはまる)。しかも、その後の昂揚感は頗る高く、壮大にして輝かしい音楽世界が築かれながら、曲は結ばれる。
ニールセンのもう一つの特徴だと見なしているシニカルな性格は薄く、全体に毅然とした演奏ぶりとなっていますが、そのことを補って余りある品格の高さが感じられる。

生命力豊かで、聴き応え十分。しかも、頗る格調の高い演奏。
バルビローリの美質と、ニールセンの音楽を聴く歓びの詰まっている、素晴らしい演奏であります。