カザドシュ&バーンスタイン&ニューヨーク・フィルによるサン=サーンスのピアノ協奏曲第4番を聴いて

カザドシュ&バーンスタイン&ニューヨーク・フィルによるサン=サーンスのピアノ協奏曲第4番(1961年録音)を聴いてみました。


カザドシュによるピアノは、エレガントにして、リリックでノスタルジックなもの。それでいて、決してひ弱な演奏にはなっておらず、必要十分に逞しくて、両端楽章ではある種の壮麗さが感じられもします。とりわけ、第3楽章は拡がり感が強くて、風格豊かな演奏が展開されている。
そのうえで、安定感のあるテクニックを裏付けとしながら、目鼻立ちのクッキリとした演奏が繰り広げられています。更に言えば、誠実な音楽づくりをベースとしながら、端正な音楽が鳴り響いている。
響きは均質。音の粒立ちがクッキリとしている。硬質なようで、潤いも感じられる響きとなっている。例えば、第2楽章では、とてもリズミカルな演奏が展開されていて、音楽が弾力を帯びていて、心地よく弾んでいる。
そのようなカザドッシュをサポートしているバーンスタインの音楽づくりもまた、エネルギッシュにして逞しいもの。全編を通じて、雄弁にして、明朗で快活な演奏ぶりが示されています。その中でも、第3楽章では、壮麗で気宇の大きな演奏となっていて、なんとも見事。

カザドシュとバーンスタインの素晴らしさと、作品の魅力とを堪能することのできる、素敵な演奏であると思います。