ビシュコフ&パリ管によるストラヴィンスキーの≪ペトルーシュカ≫を聴いて

ビシュコフ&パリ管によるストラヴィンスキーの≪ペトルーシュカ≫(1990年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。

軽妙な演奏となっています。そう、音たちが、まるで羽毛のようにフワフワと浮揚しているかのよう。そのことは、3管編成に縮小された1947年版が採用されていることにも依るのかもしれませんが、版の選択も含めて、ビシュコフの志向が反映された結果だと言えましょう。
そのうえで、パリ管ならでの煌びやかな色彩を帯びた演奏が繰り広げられている。
なるほど、この作品はもともとが、≪春の祭典≫ほどのバーバリズムに溢れた音楽ではないと言えましょう。それでも、多少なりとも「野趣」を備えていると思える。ところが、この演奏では、そのような性格が包み隠されているのであります。喧騒が聞こえてくるようなこともない。その代わりに、エレガントで、洗練味を帯びた音楽が鳴り響いている。
と言いつつも、充分に音楽が躍動している。但し、決して力づくな音楽になっていないのであります。とても趣き深くて、高雅な雰囲気を醸し出している。
そこに、パリ管のキラキラとした響きが加わることによって、この演奏の魅力はいや増すこととなっています。しかも、原色系のケバケバしいものではなく、柔らかさを帯びたものとなっている。とても艶やかで、晴れやかでもある。終曲の冒頭部分などは、軽やかさの中に、光彩陸離たる輝きが放たれていて、なんとも見事。

独特の魅力を備えている、素敵な≪ペトルーシュカ≫であります。