フェドセーエフ&モスクワ放送響によるグラズノフの交響曲第5番を聴いて
フェドセーエフ&モスクワ放送響によるグラズノフの交響曲全集から第5番(1974年録音)を聴いてみました。
この音盤は、グラズノフ(1865-1936)の残した8曲の交響曲をまとめた初めての全集でありました。そして、その最初に録音されたのが、この第5番。
R=コルサコフに師事して作曲法を学んだグラズノフの音楽の特徴は、ロシアの作曲家による作品の中でも、西欧的な洗練さや華麗な性格を持っているところにあると思えます。生年はR・シュトラウス(1864-1949)と1年しか違わず、シェーンベルク(1874-1951)の9歳年長。作風は、後期ロマン派を踏襲したものだと言えましょう。
グラズノフによる作品の中では、≪四季≫や≪ライモンダ≫といったバレエ音楽、そして、ヴァイオリン協奏曲がよく知られていると思われますが、交響曲の中では、この第5番が演奏される機会が最も多いのではないでしょうか。ムラヴィンスキーも、1979年の来日公演で、この作品を採り上げていました。
さて、ここでの演奏についてであります。
音楽を存分に鳴らし切っている、壮大な演奏となっています。それはもう、痛快なまでに。
そのうえで、色彩豊かな音楽が奏で上げられていて、グラズノフならではの華麗な音楽世界が広がっています。誠にロマンティックでもある。例えば、第2楽章のスケルツォでは、妖精が舞っているかのような幻想的な雰囲気もよく出ていて、かつ、存分に歌い込んでもいます。
そして、両端の急速楽章では、推進力に満ちた逞しい音楽が奏で上げられていて、ダイナミックでエネルギッシュな音楽となっている。
この作品の魅力を存分に味わうことのできる、素敵な演奏であります。