テンシュテット&ロンドン・フィルによるコダーイの≪ハーリ・ヤーノシュ≫とプロコフィエフの≪キージェ中尉≫を聴いて

テンシュテット&ロンドン・フィルによるコダーイの≪ハーリ・ヤーノシュ≫とプロコフィエフの≪キージェ中尉≫(1983年録音)を聴いてみました。
YouTubeに収蔵されている音源での鑑賞になります。
暖色系の演奏だと言えましょう。特に≪ハーリ・ヤーノシュ≫は、丸みを帯びていて、肌触りが柔らかく、暖かみが強く感じられる。その一方で、≪キージェ中尉≫は、もう少しアグレッシブで鋭角的な感じが出ているように思えます。
私にとりましては、この2曲の極め付けの演奏はセル&クリーヴランド盤。そこでの演奏は、精緻で、シャープで、凛としていて、それでいて、しなやかで、煌びやかで、キビキビとした躍動感があって、ニュアンス豊かで、生命力に溢れたものになっている。壮麗でいて、しかも、洒脱な感覚にも全く不足が無い。
そこへいきますと、このテンシュテット盤は、少々おっとりしているように感じられます。しかし、それはセル盤が桁違いに素晴らしいから。実は、私にとりましてのセカンドチョイスが、このテンシュテット盤なのであります。
この暖かさは、セル盤とはかなり異なる感触であります。(それは、セルによる演奏が冷たいと言っている訳では毛頭ありませんが。)
そのうえで、テンシュテットも必要十分に躍動感があり、生命力に溢れている。やや生真面目な印象はありますが、充分なる親しみ深さが感じられる。
更に言えば、泥臭さのようなもの、民族的な要素は薄く、洗練された演奏であるように思える。要は、純音楽的な演奏となっている。
そのような音楽づくりの中に、テンシュテットならではの熱気や鮮烈さ(特に≪ハーリ・ヤーノシュ≫の終曲において)が注ぎ込まれている。
この2曲の等身大の魅力を味わうには、むしろテンシュテット盤のほうが好ましいかもしれません。セルによる演奏は、この2曲が本来持っている性格以上に高貴に過ぎるように思えますので。
両曲の魅力を存分に味わうことのできる、なんとも素敵な演奏であります。





