クナッパーツブッシュ&ベルリン・フィルによるブルックナーの交響曲第9番(1950/1/30ライヴ)を聴いて

クナッパーツブッシュ&ベルリン・フィルによるブルックナーの交響曲第9番(1950/1/30ライヴ)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

クナッパーツブッシュ&ベルリン・フィルは、この2日前にもゲネプロを放送用に録音しており、そちらも音盤化されています。

さて、ここでの演奏はと言いますと、全体的に、速めのテンポでグイグイと押し通してゆくものとなっています。演奏時間は57分ほど。
そのうえで、頗る強靭な音楽となっている。随所で音楽は咆哮していて、劇的でもある。凄絶だと言えそうなところも、随所で見受けられます。
それでいて、外見的なところは一切ない。もっと言えば、媚を売るようなところが微塵も感じられず、ひたすらに自らの信じる音楽を奏で上げていこうと、いった強い意志が感じられる。なんとも切実な音楽が奏で上げられることとなっている。更に言えば、毅然とした演奏となっている。或いは、頑健にして剛毅な演奏だとも言えそう。クナッパーツブッシュならではの「巨人的」な性格が感じられもする。
しかも、全編を通じて覇気が漲っている。音楽が渦を巻きながら驀進してゆくような、そんな趣を呈しています。また、第3楽章が開始されて早々に訪れる最初のクライマックス(17小節目から)では、寄せては返す波のような表現が採られていて、頗る個性的でもある。
この演奏からは、ブルックナー晩年の「諦観」のようなものは全く感じられません。それよりももっと、逞しい生命力に溢れた音楽が鳴り響くこととなっている。更には、輝かしい音楽となっている。
と言いつつも、ブルックナーならではの敬虔さがシッカリと伝わってくるのがまた、この演奏の凄いところだと言いたい。力強くも、滔々した音楽の流れがあるとも言いたい。或いは、むせぶような表情を見せることもしばしば。

ブルックナーを得意としていたクナッパーツブッシュ。音盤でも数多くの素晴らしい演奏を遺してくれていますが、この演奏は、その中の白眉と言えるものの一つであると考えています。
多くの音楽愛好家に是非とも聴いてもらいたい、驚異的なまでに素晴らしい演奏であります。