ビーチャム&フランス国立放送管によるフォーレの≪ドリー≫を聴いて

ビーチャム&フランス国立放送管によるフォーレの≪ドリー≫(1959年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

この作品は、フォーレの愛娘が誕生日を迎えたごとに作曲した音楽を纏めたもの。もともとはピアノの連弾のために書かれた6曲からなる組曲。ここではフォーレの後任としてパリ音楽院院長に就任したラボーが管弦楽のために編曲したものが演奏されています。
そのこともあって、平明であり、かつ、柔和な音楽となっています。また、洒脱でもある。同じことが、ここでの演奏にも当てはまりましょう。
全編を通じて、夢見るような音楽が鳴り響いています。小粋で、愛らしくもある。
しかも、とても人懐っこい。そう、慈愛に溢れ、優しさに満ちていて、しみじみと話しかけてくるような趣きを持った音楽になっているのであります。それは、作品も、演奏も。
それでいて、ムードに流されるような演奏にはなっておらずに、芯がシッカリとしています。恰幅が良くもある。そのうえで、薫り高い音楽が鳴り響いている。終曲などは、適度に輝かしくもある。

チャーミングで親し気で、しかも、格調高い音楽。そのような言葉がピッタリだと言えましょう。