バルビローリ&ハレ管によるグリーグの≪ペール・ギュント≫抜粋を聴いて

バルビローリ&ハレ管によるグリーグの≪ペール・ギュント≫抜粋(1968年録音)を聴いてみました。
全曲から12曲を抜粋したもので、演奏時間は50分弱。

なんとも言えない味わい深さのある演奏であります。
まずもって、克明で目鼻立ちのクッキリとした演奏だと言いたい。音像が明瞭で、一つ一つの音が立っている。キリッと冴え渡っていて、全体的に立体感のある仕上がりになっている。なおかつ、情熱的で、生命力豊かでいて、抒情性豊かでもある。そんなこんなのコントラストが、なんとも鮮やか。例えば、「イングリッドの嘆き」などでは、凄絶な音楽が鳴り響いている。また、「山の魔王の宮殿にて」などでは、推進力豊かで、逞しさに溢れた音楽が奏で上げられている。
そのうえで、壮麗で、劇的でもある。例えば、有名な「朝」では、実に壮大な景観が広がることとなっている。
しかも、そういった表情を、これ見よがしにひけらかすような態度で示すのではなく、慎ましやかな形で表されてゆく。と言いつつ、それと分かるようにシッカリと。
(バルビローリの演奏は、どちらかと言えば「直接的な情熱」が示されることが多いように思いますので、この演奏での印象はちょっと意外でもあります。)
奥床しい演奏。そんなふうにも言えるのではないでしょうか。それは、ここでの相手が、抒情家としての性格が強いと言えそうなグリーグであったからなのかもしれません。
そのようなこともあって、ジッと心に沁み渡ってくるような演奏となってもいる。

全体的に繊細かつ克明なタッチで描かれている演奏。であるが故に、曲中で最も劇的な音楽とも言える「ペール・ギュントの帰郷」での直接的な情熱が、際立つ格好にもなっているようにも思われます。
いやはや、実に素敵な演奏であります。