リヒター&ミュンヘン・バッハ管によるヘンデルの合奏協奏曲op.3全6曲を聴いて

リヒター&ミュンヘン・バッハ管によるヘンデルの合奏協奏曲op.3全6曲(1970年録音)を聴いてみました。

「オーボエ・コンチェルト」と看做されることもある、オーボエを主体にした楽章の多い合奏協奏曲であります。それは、1本のオーボエであったり、2本のオーボエであったりするのですが。その独奏オーボエを吹いているのは、クレメントとハウスマン。
他にも、ニコレ(フルート)や、リンデ(ブロック・フレーテ)、ヘッツェル(ヴァイオリン)、といった名手たちも加わっています。なお、ヘッツェルがウィーン・フィルのコンマスに就任したのは1969年でしたので、その直後の録音ということになります。

さて、ここでの演奏はと言えば、明朗で、かつ、華やかな音楽が奏で上げられています。
その一方で、峻厳さを備えた演奏となってもいる。それは、短調で書かれている楽章において、とりわけ顕著。そのこともあって、堅実にして、構成感の強い音楽となっている。そう、キッチリカッチリとした音楽が紡ぎ上げられているのであります。もっとも、堅実さや構成感の強さについては、短調による楽章のみならず、長調の楽章においても少なからず感じられるのですが。
そんなこんなによって、凝縮度が高くて、充実感たっぷりな、堂々たる音楽が鳴り響くこととなっている。とは言うものの、決して堅苦しい演奏になっている訳ではありません。充分にしなやかであり、伸びやかでもある。そして、活力に溢れている。親しみやすくもある。
そのうえで、冒頭にも書きましたように、明朗で華やかな音楽が鳴り響くこととなっている。もっと言えば、輝かしさを秘めてもいる。それは、単に外見上のことでなく、内面から湧き出る輝かしさ、或いは、底光りするような輝かしさ、と表現したくなるものでもある。この点については、ニコレやヘッツェルやといった名手たちの、「格調の高さを伴った華麗な独奏」と呼びたくなるような演奏に依るところも大きいように思われます。

なるほど、ピリオド楽器によるヘンデル演奏が主導的となっている現代からすれば、一時代前の演奏スタイルだと言えましょう。しかしながら、古めかしさは感じられない。と言うよりも、演奏内容の立派さや充実度の高さが、そのようなことを忘れさせてくれる。
いやはや、聴き応え十分で、頗る魅力的なヘンデル演奏であります。