レヴァイン&ベルリン・フィルによるシェーンベルクの≪浄夜≫を聴いて

レヴァイン&ベルリン・フィルによるシェーンベルクの≪浄夜≫(1991年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

厚みのあるグラマラスな演奏であり、かつ、豊饒な演奏であります。馬力の大きな演奏。そして、とても濃密でもある。しかも、音楽がうねりにうねっている。
弦楽合奏版による利点を、十全に生かし切っている演奏が繰り広げられていると言いたい。そういった点では、レヴァインとベルリン・フィルのそれぞれの特質が、クッキリと現れている演奏だと言えるのではないでしょうか。
そのようなこともあってと言いましょうか、この作品に込められている「神秘性」のようなものは、ほとんど感じられません。粘り気もあまり感じられない。神妙な音楽でもない。それよりももっと、おおらかで、率直で、明朗で、快活な音楽になっている。
更に言えば、起伏が大きく採られていて、ドラマティックな音楽が響き渡っている。ホットな音楽になっていて、スリリングでもある。そのうえで、この作品が持っているロマンティシズムがシッカリと表されている。恍惚感も充分。それは、「健康的な妖艶さ」とも言えそう。

聴き応え十分な、しかも、とても聴きやすい(と言いますか、解りやすい)演奏。
独特な魅力を持った、素敵な≪浄夜≫であります。