クリスティ&レザール・フロリサンによるモーツァルトのハ短調ミサ曲を聴いて

クリスティ&レザール・フロリサンによるモーツァルトのハ短調ミサ曲(1999年録音)を聴いてみました。

なんとも清らかな演奏となっています。
クリスティ&レザール・フロリサンのコンビならではの、これっぽっちの虚飾も含まれていない、そして、穢れの全くない、純真さに満ちた演奏。大言壮語することなく、篤実にして、慎ましくもある。そのような音楽づくりが、この作品の神髄を表してくれていると言いたい。どこまでも澄み切っている、美しい音楽が鳴り響いています。それは、天国的な美しさだとも言えましょう。ソロの木管楽器群との掛け合いが美しいコンチェルタンテなナンバーである” Et incarnatus est”などは、その最たるものだと言えましょう。
(モーツァルトの声楽作品におけるコンチェルタンテな音楽として、このナンバーと、≪後宮からの誘拐≫の「拷問のアリア」の2曲を、私は愛してやみません。)
更には、キリッとした表情を浮かべている。概して速めのテンポが採られていることもあり、疾駆感を湛えてもいる。音楽がダブつくようなところが微塵もない。
そのうえで、作品の息吹が生き生きと感じられ、伸びやかな演奏が繰り広げられている。例えば” Laudamus te”において顕著なように、歓びに溢れてもいる。そして、全編にわたって、音楽の鼓動がシッカリと感じられる。躍動感に満ちてもいる。

純美で、清々しくて、とても敬虔な音楽。そして、心が浄化されるような音楽が奏で上げられている。しかも、決して出しゃばることのないバイタリティといったようなものを湛えてもいる。そのように言える演奏。
モーツァルトが生み出した至高の音楽と言える、このミサ曲。その音楽世界にドップリと身を浸すことのできる、素晴らしい演奏であります。