パーヴォ・ヤルヴィ&シンシナティ響によるプロコフィエフの交響曲第5番を聴いて
パーヴォ・ヤルヴィ&シンシナティ響によるプロコフィエフの交響曲第5番(2007年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
私が、パーヴォの演奏で最初に惹かれたのは、テレビ放送で、N響とのプロコフィエフの交響曲第5番を聴いた時でした。それは、2000年代の初頭(パーヴォ&N響は、同曲を2002年1月の定期演奏会で採り上げているようで、これが初共演でありました)のことだったはずです。そこでの印象は、エッジの効いた音楽づくりで、才気溢れる演奏をする指揮者だな、というものでありました。
当盤は、そのプロコフィエフの交響曲第5番を、当時の手兵だったシンシナティ響(2002年から2011年までの間、音楽監督を務めています)と共に録音したものになります。
この音盤で聴くことのできる演奏も、切れ味鋭いものとなっています。輪郭線がクッキリしており、明晰このうえない。敏捷性が高くもある。
しかも、生命力に溢れていて、頗るダイナミック。鋭角的な音楽づくりで、凝縮度が高いながらも、恰幅の良い音楽が奏で上げられています。直線的でありつつも、豊麗でもある。そして、身のこなしがしなやか。
そのうえで、この作品ならではの峻烈さを併せ持ってもいる。
これはもう、パーヴォの類い稀な音楽センスが全開となっている演奏だと言えましょう。そこここに、ボキャブラリーの豊富さが感じられます。更に言えば、音楽設計の巧みさが窺えもする。
実に魅力的で、惚れ惚れするほどに見事な演奏であります。