ジンマン&チューリヒ・トーンハレ管によるR・シュトラウスの≪家庭交響曲≫を聴いて

ジンマン&チューリヒ・トーンハレ管によるR・シュトラウスの管弦楽曲全集から≪家庭交響曲≫(2002年録音)を聴いてみました。

清涼感に溢れている演奏が繰り広げられています。とてもスッキリとしている。そして、全体が手際よくまとめられている。こういったことは、ジンマン&チューリヒによる演奏の大半について当てはまると言えそうですが、R・シュトラウスを聴くと、このことがより一層鮮明に感じられる。
R・シュトラウスの音楽といえば、厚化粧なものをイメージされることが多いのではないでしょうか。絢爛豪華、音の洪水、キラキラとした色彩感、グラマラスで妖艶で豊麗な音楽世界が広がってゆく、といったことも連想されよう。
そこへゆくと、このジンマンによる演奏はその対極にあると言っても良さそうなほどに、スッキリと纏められたものとなっています。整然としていて、透明感があって、清楚な雰囲気が漂っている。毒っ気がなく、清涼飲料水のようでもある。
そのうえで、音楽は十分に躍動している。とてもキビキビとしていて、敏捷性の高い演奏が繰り広げられています。R・シュトラウスの音楽に特有の、濃厚で絢爛豪華たる世界が広がってゆくという演奏とは一線を画すもので、ある種「薄口」のR・シュトラウス演奏だと思えるのですが、やるべきことをキッチリとやってくれている、という充足感を抱くことができる。力感にも不足はない。
更には、作品のテクスチュアを明瞭に解きほぐしてくれる演奏となっている。とても精緻でもある。そして、ピュアな美しさを湛えてもいる。

見通しが良く、キリッと引き締まっていて、機能性の高さのようなものが感じられる演奏。そう、「機能美」を備えている演奏となっているのであります。肩肘を張らずに、視界の良好な≪家庭交響曲≫に触れることのできる演奏だとも言えそう。
このようなカロリー控え目で、爽快で、整然としているR•シュトラウスに接するのも、時には良いものです。しかも、必要十分にエネルギッシュで、充分に生き生きとしていて、機敏でもあるのが、なんとも嬉しいところ。
ジンマンの音楽センスの良さが光る、独自の魅力を湛えた素敵な演奏であります。