サヴァリッシュ&フィラデルフィア管によるドヴォルザークの交響曲第7番を聴いて
サヴァリッシュ&フィラデルフィア管によるドヴォルザークの交響曲第7番(1989年録音)を聴いてみました。
サヴァリッシュがフィラデルフィア管の音楽監督に就いていたのは1993年から2003年の10年間。この演奏は、その就任の4年前に録音されたものになります。
サヴァリッシュとフィラデルフィア管、水と油のような取り合わせであるように思えるのですが、さにあらず。なかなかな相性の良さを見せてくれていました。
ここでの演奏は、サヴァリッシュらしい堅実な音楽づくりを基盤としながら、フィラデルフィア管が奏でる艶やかな響きが加味されて、官能味の濃い音楽になっている。そんなふうに言えるように思います。
変にかしこまっていたり、四角四面であったりせずに、力感に溢れていて、流麗さが感じられるところがまた、なんとも素敵であります。明朗で、覇気があって、潤いが備わってもいる。そこに、フィラデルフィア管の機能性の高さとカラフルな響きが加えられることによって、鮮やかさが増すこととなる。更には、音楽が生き生きとしたものとなっている。
と言いつつも、はしゃぎたてるような演奏にはなっておらず、ジックリと腰を据えた演奏が展開されています。そして、響きにおいても、構成感においても、充実した音楽が鳴り響いている。
そんなこんなによって、堅固にして、メロディアスな魅力に溢れているという、ドヴォルザークの作品が持つ特徴が、クッキリと表されることとなっている。
このコンビの美質をタップリと味わうことのできるとともに、作品の魅力も存分に味わうことのできる、素晴らしい演奏であると思います。