コラールによるラヴェルの≪鏡≫を聴いて

コラールによるラヴェルのピアノ曲全集から≪鏡≫(1978年録音)を聴いてみました。
輪郭線が明確でありつつも、決して明晰に過ぎる演奏とはなっておらず、色彩の移ろいがグラデーション状になっているような演奏。すなわち、どこか朧な性質も持っている、雰囲気豊かな演奏。或いは、エレガントな性格を湛えている演奏。そんなふうに言えるように思えます。
このとき、コラールは30歳。若々しくて瑞々しい感性に満ちた音楽づくりが施されています。また、演奏ぶりが素直なようにも思える。そのうえで、繊細で、研ぎ澄まされた演奏となっている。とても精妙な音楽となってもいる。繊細で、冴え冴えとした感覚が貫かれているとも言いたい。
更には、この曲集で最も激しい運動性を持っている第4曲目の「道化師の朝の歌」では、リズミックで、躍動感に満ちた音楽が奏で上げられています。音楽がキラキラと煌めいている。それでいて、ここでも、音楽はエレガントなものとなっている。
また、第2曲目の「悲しげな鳥たち」では、沈み込んだ音楽が鳴り響いていつつも、過度に弱弱しい音楽になるようなことはなく、芯のシッカリとした演奏が展開されています。そのことが、冒頭で触れた輪郭線の明確さに繋がっているのだと言いたい。似たようなことが、第3曲目の「海原の小舟」にもクッキリと現れている。
聴き応え十分で、なんとも実に魅力的なラヴェル演奏であります。





