ドラティ&デトロイト響によるストラヴィンスキーの≪春の祭典≫を聴いて
ドラティ&デトロイト響によるストラヴィンスキーの≪春の祭典≫(1981年録音)を聴いてみました。
明晰にして、鮮烈な演奏であります。切れ味が、とても鋭い。それでいて、荒々しかったり、野性的であったり、凶暴であったり、ということはない。洗練されていて、端正な演奏となっています。見通しが良くもある。筋肉質で、スリムな体型をした≪春の祭典≫だとも言えそう。
音楽の隅々が透けて見えるかのようであります。そして、目鼻立ちがクッキリとしていて、音楽がテキパキと進められてゆく。そのために、聴いていて清々しい気分にさせられます。
と言いつつも、決して爽やかさを前面に押し出した軽量級な演奏ではありません。整然とした佇まいの奥に、充分なるエネルギーが潜んでいる。力感に溢れていて、ダイナミックでもある。
更に言えば、磨き上げが誠に丹念で、とても美しい演奏となっている。それはもう、驚異的なまで。その美しさについては、響きにおいても、音楽が示している佇まいにおいても、当てはまる。
ユニークな魅力を湛えている、素敵な≪春の祭典≫であります。