ジュリーニ&フィルハーモニア管によるファリャの≪恋は魔術師≫を聴いて
ジュリーニ&フィルハーモニア管によるファリャの≪恋は魔術師≫(1961年録音)を聴いてみました。ソプラノ独唱はロス・アンヘレス。
当盤は、ジュリーニが47歳のときに録音されたもの。その演奏はと言いますと、鮮烈で、煽情的なものとなっています。
ジュリーニによるファリャ、ちょっと異質な感じがしないでもないですが、スペイン情緒がプンプン匂ってくる演奏ぶりが示されています。それは、ジュリーニのラテン気質と、オペラで培った劇場人としての血に依るものでありましょうか。
そのうえで、ドラマティックで、スリリング。若々しくて、生気に溢れていて、推進力に富んでいる。しなやかでもある。そのような音楽づくりが、この作品に相応しい。
と言いつつも、開放感のある演奏ぶりとなっている訳ではありません。むしろ、頗る緊張感が高い。そのような中で、詩情性が求められるナンバーでは、雰囲気豊かな音楽が奏で上げられている。
そんなこんなによって、奥行きの深い演奏になっていると言いたい。
ロス・アンヘレスの歌がまた、濃厚な雰囲気を醸し出してくれています。それも、決してドギツイわけではなく、あくまでも清冽であるのですが、十分に煽情的な歌いぶりとなっている。そして、情感豊かでもある。
あまり話題に上ることのない演奏だと言えるかもしれませんが、とても魅力的な≪恋は魔術師≫となっています。
多くの音楽愛好家に聴いてもらい素晴らしい演奏であります。