ネゼ=セガン&ヨーロッパ室内管によるメンデルスゾーンの≪スコットランド≫を聴いて

ネゼ=セガン&ヨーロッパ室内管によるメンデルスゾーンの交響曲全集から≪スコットランド≫(2016年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。
当全集は、2016年2月にパリで開かれたメンデルスゾーン音楽祭での演奏会をライヴ録音して制作されたもの。

この全集に収められている演奏は、おしなべて、スリムな響きを基調としながらの、キリっと引き締まったフォルムをしている、といった印象が強い。スッキリと纏められているメンデルスゾーン演奏。そのうえで、清々しくもある。そういった特徴は、室内オーケストラを起用していることが大きく作用しているとも言えそう。
そこへゆくと、この≪スコットランド≫では、気宇の大きな演奏ぶりが示されています。とても情熱的でもある。キビキビとした運動性を備えながら、推進力の大きな演奏が展開されてゆく。そういった演奏ぶりとなっているのは、この作品が備えている性格を踏まえてのことなのでしょう。
なるほど、明晰な音楽づくりが為されていて、響きはスッキリとしており、見通しの良い演奏となっています。それは、この全集の大半の演奏に共通したことだと言えましょう。そのうえで、振幅を大きく採りながら、エネルギッシュ、かつ、ドラマティックな演奏が繰り広げられてゆく。
アグレッシブな姿勢を前面に押し出しながら、陶酔感の強い音楽が鳴り響いていて、必要十分な激烈さを備えている。それでいて、羽目を外すようなことはなく、端正にして、堂々たる音楽が響き渡っている。メンデルスゾーンならではの、凛々しさや、瀟洒な佇まいにも不足はない。

ネゼ=セガン&ヨーロッパ室内管というコンビの魅力と、この作品の魅力とをタップリと味わうことのできる、素敵な演奏であります。