インバル&フランクフルト放送響によるシューマンの交響曲第2番を聴いて

インバル&フランクフルト放送響によるシューマンの交響曲第2番(1994年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

スッキリ淡麗で、洗練味が感じられ、口当たりの爽やかな演奏。そんなふうに言えるのではないでしょうか。
そのうえで、やるべきことはキッチリやってくれている演奏となっています。厚ぼったくなるようなことは皆無でありつつも、薄っぺらな音楽になることもない。そして、充実感いっぱいな音楽が鳴り響いている。躍動感や逞しさに不足はなく、表情が生き生きとしてもいる。
更には、細部まで丹念に磨き上げられた演奏となっている。目鼻立ちがクッキリとしていて、見通しの良い音楽になってもいる。
そういった特質からは、インバルの音楽センスの豊かさが実感され、なおかつ、音楽家としての矜持のようなものが窺えもします。バランス感覚に優れているとも言えそう。

なるほど、この演奏からはシューマンに特有の狂気は感じられません。その代わりに、整然とした佇まいの音楽が鳴り響くこととなっている。
その結果として、純音楽的な美しさを湛えたものとなっています。真摯にして、格調の高い演奏になっているとも言いたい。
ユニークな魅力を湛えた、素敵なシューマン演奏。このようなシューマンも、たまには良いものです。