チェクナヴォリアン&ナショナル・フィルによるボロディンの交響曲第2番を聴いて
チェクナヴォリアン&ナショナル・フィルによるボロディンの交響曲第2番(1977年録音)を聴いてみました。
イラン生まれのアルメニア人指揮者、チェクナヴォリアン。1970年代の後半にRCAレーベルからロンドンのオーケストラを振ったLPレコードが5~10枚ほどリリースされ、その異才ぶりもあって、一時期騒がれた存在でありました。
その後、1989年にアルメニア・フィルのシェフに就任し、ASVレーベルへ同郷のハチャトゥリアンの作品を体系的に録音しています。その一連のハチャトゥリアンの録音を、チェクナヴォリアンの代表盤と看做すことができるのではないでしょうか。
さて、ここでのボロディンでありますが、突進力のある逞しい演奏が繰り広げられています。そして、ストレートな音楽づくりが為されていて、誠に潔い。そのうえで、身のこなしが頗るしなやか。奔放な音楽づくりが為されていて、活力に溢れていて、音楽があちこちで弾け飛んでいると言いたい。
そのようなこともあり、痛快極まりない演奏となっている。聴いていて、ぐんぐんテンションが上がってきます。そして、血が騒いでくる。
何と言いましょうか、動物的な(或いは、本能的な)嗅覚でもって作品を吟味していった結果、このような演奏に行きついた、と言い表されるように思えます。
何よりも尊いのは、そのような演奏ぶりが、この作品の性格にピッタリだということ。それ故に、作品の魅力を存分に味わうことができる。
快演、いや、凄演という呼び方が相応しいと言えそうな、規格外の面白さを備えている、素晴らしい演奏であります。