ビーチャム&BBC響によるシベリウスの交響曲第2番を聴いて

ビーチャム&BBC響によるシベリウスの交響曲第2番(1954年ライヴ)を聴いてみました。

ビーチャムの演奏は、温厚な性格が強いように思えますが、このシベリウスではアグレッシブに攻めてゆく姿勢が見え、骨太で逞しい演奏となっています。
やや速めのテンポで、グイグイと押してゆく。そのために、推進力の強い演奏となっています。明快な筆致で描き上げていきながら、輪郭線のキッチリとした彫りの深い演奏が繰り広げられてもいる。更には、躍動感が漲っていて、キビキビとしていて、エネルギッシュでドラマティック。音楽が存分にうねっている。
そして、これは「彫りの深さ」ゆえなのでしょうが、「厳しさ」の秘められた演奏となっている。情熱的で勇壮でありつつも、厳格な音楽が鳴り響いているのであります。
その一方で、ビーチャムらしい「温もり」が感じられもします。どんなにアグレッシブな音楽づくりをしていても、音楽の美観は保たれていて、端正でもある。そして、とてもチャーミングである。
なんとも素敵な演奏であります。

なお、イギリスには、シベリウス演奏の系譜のようなものがあると言えましょう。コリンズ、バルビローリ、サージェント、コリン・デイヴィスらといった。
そのような中での「ビーチャムによるシベリウス」がどんなであったのかを知る上でも、貴重な音盤だと思えます。しかも、ライヴ録音であるだけに、ビーチャムの「素の姿」でのシベリウス観のようなものが感じ取ることができるとも言えそう。