リヒテル&マゼール&パリ管によるバルトークのピアノ協奏曲第2番を聴いて

リヒテル&マゼール&パリ管によるバルトークのピアノ協奏曲第2番(1969年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

頗る強靭な演奏が繰り広げられています。
この作品では、ピアノが打楽器のように使用されていると評されますが、この演奏を聴くと、そのことがよく理解できましょう。ここでのリヒテルの打鍵の強さは、ピアノ演奏という領域を遥かに超えているように思えるのです。両端楽章での、或いは、第2楽章の中間部でのリヒテルによるピアノは、それはもう、容赦なく鍵盤を打ち付けてゆく、といったような力強さを持っている。
しかも、単に力強いだけではなく、冷酷さを持っているように思われる。音楽をバッサバッサと切り裂いてゆくような趣きが感じられるのであります。感情を挟まずに、良い意味で機械的に、そして正確に、音楽は刻まれてゆく。そのような演奏ぶりがまた、この作品には、とても似つかわしい。聴いていて、戦慄が走る。
そんなリヒテルに対して、マゼールも、実に鋭敏な演奏を繰り広げてくれています。生彩感に溢れてもいる。
そこに加わるパリ管の響きは、ここでも実に色彩的であり、煌びやか。そのことが、この演奏をより一層魅力的なものにしてくれています。

ピアニスト、指揮者、オーケストラの、それぞれの魅力が存分に発揮されていて、そのことによって、作品の魅力も引き立っている演奏。
これはもう、惚れ惚れするほどに素晴らしい演奏であります。