ネーメ・ヤルヴィ&エーテボリ響によるグリーグの≪交響的舞曲集≫を聴いて

ネーメ・ヤルヴィ&エーテボリ響によるグリーグの≪交響的舞曲集≫(1986年録音)を聴いてみました。

この作品は、ピアノ連弾の作品をグリーグ自身が編曲をしたもの。4曲から成る舞曲集で、演奏時間は約30分。
可憐で、洗練された土俗性のようなものが感じられる音楽になっています。そして、聴いていて誠に清々しい。凛としていて、夢幻的でもあって、清冽な世界に身を浸すことのできる曲集でもあります。
さて、ここでの演奏は、N・ヤルヴィならではの骨太なもの。壮健な演奏となっています。目鼻らちがクッキリとしていて、明快。しかも、体温は随分と高め。昂揚感が高くもある。
そして、舞曲としての快活さが、そこここから感じられる。躍動感に満ちた演奏が繰り広げられているのであります。華やかで、煌びやかでもある。
全体的に、逞しさの感じられる、力感に溢れていて、彫琢の深いグリーグ演奏だと言えましょう。
そのうえで、単に力で押し切るのではなく、この作品が持っている(それは、グリーグの作品に共通したものだとも言える)キリっとした佇まいの備わっている演奏となっている。

こじんまりと纏った感じではない、気宇の大きなグリーグ演奏。熱くて、華やいでいて、それでいて、凛々しくて清々しくもある。
この魅力的な舞曲集の音楽世界にドップリと身を浸すことができ、かつ、聴いていてウキウキしてくる、素敵な演奏であります。