アーベントロート&ライプツィヒ放送響によるシューマンの交響曲第4番を聴いて

アーベントロート&ライプツィヒ放送響によるシューマンの交響曲第4番(1951年録音)を聴いてみました。

濃厚なロマンティシズムと、迸り出るパッションとが織りなす、見事な演奏が繰り広げられています。シューマンならではの熱狂や、うねりも充分。
と言いつつも、速めのテンポを基調としながらキビキビと進められ、音楽が粘るといったことはありません。過度に情念的になるようなこともない。総じて颯爽としている。贅肉の付いていない、キリリとした演奏だとも言えそう。
それでいて、コクの深さがある。更には、趣深さのようなものが感じられもする。そして、馥郁とした薫りが漂ってくる演奏となっている。ロマンティックでもある。
そのうえで、十二分に熱いのであります。推進力に満ちている。とても壮健でもある。もっと言えば、スケールの大きな音楽が鳴り響いている。

ずっしりとした手応えの残る演奏。噛めば噛むほどに味の出る演奏だとも言いたくなる。しかも、シューマンの4番の魅力を存分に味わうことのできる演奏となっている。
今や、忘れかけられている巨人だと表現できそうなアーベントロートでありますが、彼の演奏が如何に卓越したものであったのかを雄弁に物語ってくれる演奏。そんなふうにも言いたくなります。
是非とも、多くの音楽愛好家に聴いてもらいたい、素晴らしい演奏であります。