ライナー&シカゴ響によるハイドンの≪ロンドン≫を聴いて
ライナー&シカゴ響によるハイドンの≪ロンドン≫(1957年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
強靭な音楽づくりが為されていて、かつ、キリッと引き締まった演奏が繰り広げられています。推進力に溢れた演奏となってもいる。
それでいて、力任せなところは全くありません。剛毅でありつつも、まろやかな演奏となっているのであります。そのうえで、堅固な音楽づくりで、高潔で、毅然としていて、かつ、格調の高い演奏。しかも、暖かみが感じられもする。更に言えば、過度にならない範囲での壮麗さが備わっている。
それらはもう、至芸だと言えましょう。
なおかつ、躍動感を伴って音楽が進められてゆく様が、なんとも心地よい。ハイドンならではの愉悦感にも不足はありません。そのことが、聴き手に幸福感をもたらしてくれる。そして、ニヒルな雰囲気が漂っていながらも、そこはかとないウィットが感じられもする。その辺りがまた、ハイドンに相応しいと言いたい。
ライナーならではの味わいに包まれているハイドン演奏。しかも、強引さや硬さはなく、優しい微笑みが見えてくるような演奏となっている。
なんとも見事な、そして、素敵な演奏であります。