プレトニョフ&ロシア・ナショナル管によるラフマニノフの交響曲第2番を聴いて

プレトニョフ&ロシア・ナショナル管によるラフマニノフの交響曲第2番(1993年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

1978年に開催された第6回チャイコフスキー・コンクールのピアノ部門の覇者であるプレトニョフ。そのプレトニョフが、私設のオーケストラであるロシア・ナショナル管を設立したのが1990年のことであり、当盤は、指揮者として録音活動を開始した最初期の記録となります。DGへは、これがデビュー盤でありました。そのような時期の演奏ということもあるのでしょう、非常に意欲的な演奏であるように思えます。
全体的に、力感に富んでいて、強靭な演奏となっている。とてもエネルギッシュであります。なおかつ、キビキビとした音楽運びが為されている。そのような音楽づくりが、この作品にはピッタリ。
そのうえで、とても率直な演奏ぶりが示されている。表現意欲が旺盛でありつつも大見得を切るようなことはなく、この作品が持っているエネルギーを的確に放出してゆこう、といった姿勢が窺えます。
しかも、磨き上げが丹念で、粗さがない。むしろ、肌触りが滑らかで、洗練味も感じられる。そして、ラフマニノフの作品に相応しい、十分なるロマンティシズムが備わっている演奏になっている。適度に豊麗であり、艶美でもある。

全曲を通じて、プレトニョフの豊かな音楽性がストレートな形で滲み出ている演奏だと言えそう。
聴き応え十分な、素晴らしい演奏であります。

今年の5月には兵庫芸術文化センター管(通称:PACオケ)を指揮することになっているプレトニョフ。そこでは、オール・チャイコフスキー・プロが組まれている。
どのような演奏を繰り広げられてくれることになるのか、今からとても楽しみであります。