デュメイ&コラールによるフォーレのヴァイオリンヴァイオリンソナタ第1,2番を聴いて
コラールを中心に制作されたフォーレの室内楽曲全集から、デュメイ&コラールによるヴァイオリンソナタ第1,2番(1976,77年録音)を聴いてみました。
録音当時、デュメイ(1949年生まれ)もコラール(1948年生まれ)も、20代の後半。
フォーレらしい瀟洒な雰囲気を漂わせつつ、逞しくてパッショネートな感興も併せ持った、吸引力の強い素晴らしい演奏だと言えましょうか。音楽が随所でうねっていて、熱血的で、逞しい生命力を宿している演奏となっています。若き俊英たちの表現意欲の旺盛さが、演奏の端々から感じられる。率直であり、一途さの漲っている演奏となってもいる。そのこともあって、とても激しい演奏となっていながらも、誇張は一切感じられない。
フレッシュかつエネルギッシュで、ダイナミックかつエキサイティングで、そのうえで詩的なインスピレーションにも溢れている。そのような演奏だとも言えるのではないでしょうか。そう、存分に情熱が迸っていつつも、エレガントであり、滴り落ちるような抒情性も十分に感じられるのであります。
更に言えば、流れが誠に美しい。そして、造形や、演奏全体が示している佇まいもまた、誠に美しい。それはもう、惚れ惚れするほどに。それ故に、熱い演奏ぶりの中から、フォーレならではの瀟洒な雰囲気が滲み出ているのでありましょう。
しかも、デュメイによるヴァイオリンの響きは、誠に艶やかなもの。また、コラールによるピアノは、凛とした美しさを湛えている。
そんなこんなのうえで、体幹のシッカリとしている演奏となっている。デュメイとコラールとの間の緊密感も充分。
なんとも素敵な音楽であり、素敵な演奏であります。