シノーポリ&ウィーン・フィルによるシューマンの交響曲第2番を聴いて

シノーポリ&ウィーン・フィルによるシューマンの交響曲第2番(1983年録音)を聴いてみました。
シノーポリ(1946-2001)が37歳になる年に録音されたものになります。

ここでの演奏は、シノーポリによる逞しい音楽づくりと、それを包み込むウィーン・フィルの艶やかで柔らかみのある美音によって、奏で上げられてゆく。しかもここには、「音楽の奔流」と呼べるような激烈さがある。音楽がメラメラと燃え盛っています。そして、切迫感に満ちてもいる。
その一方で、ひたむきなロマンティシズムが漂っている。憧憬のようなものが感じられもする。そのうえで、音楽する「熱狂」がしっかりと刻まれている。
そのような音楽世界を生み出す大本は、シューマンによって作り上げられたものに他ならないのであって、この演奏には、シューマンの音楽を聴く歓びがギッシリと詰まっていると言いたくなります。

ところで、シノーポリによる演奏にしましては、あまり思索的な方向に傾かず、かつ、あれこれと弄り回さずに、かなりストレートな演奏になっているように思います。それは或る種、早すぎる晩年となったシュターツカペレ・ドレスデン(SKD)時代の演奏に相通じるものだとも思える。
しかしながら、SKDでの演奏では、もっと端正な佇まいをしていた。ここでは、SKD時代にはなかなか窺うことのできない、赤裸々にして、激情的な音楽が奏で上げられていて、そのことが、この演奏を魅力的なものにしてくれているように思えます。

若かりし頃のシノーポリの録音の中でも、とりわけ充実度の高い演奏だと言えましょう。しかも、シューマンの作品が持つ魅力を、存分に味わうことのできる演奏になっている。
いやはや、なんとも素晴らしい演奏であります。