ベーム&ベルリン・フィルによる≪ツァラトゥストラ≫を聴いてみました
ベーム&ベルリン・フィルによるR・シュトラウスの≪ツァラトゥストラかく語りき≫(1958年録音)を聴いてみました。
逞しくて、壮麗な演奏であります。雄渾であり、そして、鮮烈でもある。
ベームは、無骨なタイプの指揮者であるというイメージが強いと思うのですが、ワーグナーのオペラやR・シュトラウスの作品に対する際には、克明で鮮烈な演奏ぶりを示すことが多い。ここでの≪ツァラ≫などは、その際たる例であると言えましょう。
エッジが効いていて、目の覚めるような豪快さがあって、煌びやかであって、聴き手をワクワクさせる「劇的効果」が随所に散りばめられている。音楽がうねりにうねっていて、激流のごとく音楽が推し進められている。そして、華々しくもある。
と言いつつも、必要以上に華美なものとなっている訳ではなく、こけおどしな音楽ともなっていないのが、いかにもベームらしいところ。音楽が空転することなく、地に足の着いた演奏が繰り広げられている。更に言えば、堅固な建造物が築き上げられるような音楽となっている。
そのうえで、逞しい生命力に溢れていて、細部にまで血の通っている演奏となっている。しかも、過度に豊満にならずに、音楽を締め上げ過ぎない過ぎない程度にキリッと引き締まっている。
外面的にも内面的にも充実感がいっぱいの、見事な演奏だと思います。