バーンスタイン&ウィーン・フィルによるベートーヴェンの交響曲第4番を聴いて

バーンスタイン&ウィーン・フィルによるベートーヴェンの交響曲全集から第4番(1978年録音)を聴いてみました。

この全集は、バーンスタインのヨーロッパでの活動を決定的にした記念碑的な音盤だと言えるのではないでしょうか。特に、ヨーロッパから遠く離れた日本においては、その印象が殊更に強いように思えます。

さて、ここでの第4番の演奏についてですが、なんとも輝かしい演奏となっています。最晩年のような「異様なまでの遅さ」はまだ無く、躍動感に溢れていて(もちろん、最晩年の演奏でもスローなテンポの中に「躍動感」は充分に感じられましたが)、伸びやかで、健康的で逞しいベートーヴェン演奏が繰り広げられています。
第4番は、カルロス・クライバーが示してくれたように、ベートーヴェンの交響曲のなかでもとりわけ、第7番とともに律動感に満ちた音楽だと言えましょうが、ここでのバーンスタインの演奏は、この作品が持っているそのような性格に、誠に相応しいものとなっています。
全編にわたって、壮健で明朗な音楽世界が広がっている。そして、覇気が漲っていて、率直で直線的な演奏であるとも言えそう。それでいて、充分にしなやかでもある。まろやかさが備わってもいる。艶やかでもある。この辺りは、ウィーン・フィルの体質によるところが大きいのではないでしょうか。そう、バーンスタインの志向と、ウィーン・フィルの特質とが、バランスよく融合されている演奏。そんなふうに言えるように思えます。
そんなこんなによって、充実感いっぱいで、なんとも魅惑的な音楽が、展開されることとなっている。

この作品の魅力を存分に味わいながら、バーンスタイン&ウィーン・フィルというコンビの美質も堪能することのできる、素敵な素敵な演奏であります。