デュトワ&モントリオール響による≪魔法使いの弟子≫他を聴いて
デュトワ&モントリオール響による「フレンチ・コンサート」と銘打たれたCD(1987年録音)から下記の3曲を聴いてみました。
デュカス ≪魔法使いの弟子≫
ビゼー ≪子供の遊び≫
イベール ≪ディヴェルティメント≫
いずれの演奏も、手際の鮮やかさや、描写の巧みさが窺える、見事なものとなっています。そのうえで、デュトワならではの、ブリリアントにしてエレガントな音楽づくりを心行くまで楽しむことのできる演奏が並んでいる。
≪魔法使いの弟子≫は、絢爛たる演奏ぶりが示されています。オケを高らかに鳴らしている。なんともエネルギッシュな演奏が展開されている。そして、煌びやかで色彩豊かな演奏となっている。洪水となってしまった場面などは、まさに「音の洪水」状態。
それでいて、響きは全く混濁していないのが凄いところ。また、音楽が凶暴なものとなっている訳でもない。ここにあるのは、誠にエレガントな音楽。そのうえで、実にドラマティックなのであります。
デュトワマジックが炸裂していると言えそうな、驚異的なまでに素晴らしい演奏であります。
≪子供の遊び≫は、小粋で、茶目っ気たっぷりな演奏が繰り広げられています。整理の行き届いている演奏ぶりで、スッキリと纏められていつつも、薫り高いものとなっています。
そして、この作品に相応しく、とても可憐な音楽となっている。
≪ディヴェルティメント≫は、≪子供の遊び≫での演奏以上に、小粋な雰囲気に包まれたものとなっています。そして、愉悦感に満ちた音楽が奏で上げられている。
そこここで、音楽が弾けている。しかも、オーバーな表情をしている訳ではなく、センス良く音楽が掻き鳴らされています。
この作品は6曲から成る組曲となっているのですが、その中で唯一、暗鬱な音楽となっている第3曲の「夜想曲」での、ちょっぴり不気味な雰囲気を醸し出しているところがまた、音楽に絶妙なアクセントを与えてくれている。
これはもう、デュトワのオシャレな感覚が最大限に生かされていると言えそうな、頗る魅力的な演奏であります。