メータ&ウィーン・フィルによるブルックナーのミサ曲第2番を聴いて

メータ&ウィーン・フィルによるブルックナーのミサ曲第2番(1976年録音)を聴いてみました。

メータが、まだニューヨーク・フィルの音楽監督に就任する前の演奏。この頃のメータは、ロス・フィルとの録音と共に、ウィーン・フィルとも多くの音盤を制作していました。
ところで、メータによるブルックナーと言えば、交響曲は第8番や第9番や第4番などをセッション録音していますが、ミサ曲のセッション録音はこれが唯一なのではないでしょうか。
なお、このミサ曲は、ブルックナー(1824-1896)の比較的初期の作品で、交響曲第1番が書き上げられたとほぼ同じ時期であります1866年の完成。オーケストラパートは、管楽器のみとなっています。

さて、ここでの演奏はと言いますと、生き生きとしたものとなっています。あまり小難しい演奏ぶりではなく、伸びやかでもある。
そのうえで、なんとも明朗な音楽づくりが為されている。それは、オーケストラが管楽器のみということが、ここでの音楽をより一層明るいものにしてくれているように思えます。
それでいて、敬虔であり、清浄な雰囲気にも事欠かない。と言いましょうか、なんとも清々しい音楽が鳴り響いています。この辺りは、メータの感性の瑞々しさにも依るのでありましょう。そして、ウィーン・フィルの艶やかにして暖かみのある響きが、メータの音楽づくりを引き立ててくれている。更には、この演奏に感覚的な美しさを与えることとなってもいる。

難しいことを考えずに、この作品の音楽世界に身を浸すことのできる演奏。そんなふうに言えそうな、素敵な演奏であります。