コリン・デイヴィス&コンセルトヘボウ管によるドヴォルザークの交響曲第7番を聴いて
コリン・デイヴィス&コンセルトヘボウ管によるドヴォルザークの交響曲第7番(1975年録音)を聴いてみました。
この頃のC・デイヴィスに対しては、よく「熱血漢」という表現が使われていました。そこへゆくと、このドヴォルザークでは、そのような言葉に相応しい逞しくて熱い演奏が繰り広げられています。エネルギッシュで、気風が良くて、男気に溢れている。
そんな演奏ぶりが、この曲が持つ、鬱屈とした中にも情熱の迸りが感じられる音楽的な性格に、よくマッチしているように思えます。音楽が随所でうねっている。勢いが感じられもする。第3楽章などでは、音楽が存分に弾けている。そのうえで、全編を通じて気宇の大きさがシッカリと示されている。決して派手な演奏ぶりではないものの、底力のようなものの感じられる輝かしさが放たれているとも言えそう。
しかも、目鼻立ちのクッキリとした明瞭な音楽が奏で上げられていて、聴いていて心地よくもあります。そして、爽やかな興奮を抱かせてくれる。きっかりとした構成感が備わっていつつも、音楽がしなやかに流れている。その息遣いは、誠に豊かなものとなっている。
更には、コンセルトヘボウ管の、柔らかくて弾力性があり、かつ、充分なる厚みの備わっている充実した響きが、この演奏をより一層魅力あるものにしてくれています。とても芳醇な音楽が鳴り弾いているとも言いたい。それがまた、ここでのC・デイヴィスによる音楽づくりの方向性にピッタリ。
指揮者とオケの豊かな音楽性を堪能することができる、見事な演奏。そのうえで、この作品の音楽世界にドップリと身を浸すことのできる演奏が繰り広げられている。
充実感たっぷりな、なんとも素敵な演奏であります。