プレートル&パリ管によるプーランクの≪シンフォニエッタ≫を聴いて

プレートル&パリ管によるプーランクの≪シンフォニエッタ≫(1968年録音)を聴いてみました。

なんとも瀟洒な作品であり、演奏であります。
更に言えば、プーランクの作品に相応しい薫り高い演奏。ウィットも十分。
そのうえで、1967年以前のパリ音楽院管時代と比べると、直截的であり、かつ、華やかで煌びやかな響きとなっているように思えます。パリ音楽院管の奥床しい響きが懐かしくもありますが、ここでの生彩感に溢れる音たちも、とても魅力的。それに加えて、音の粒立ちが鮮やかで、立体感が増しているようにも思える。
しかも、躍動感や愉悦感も十分。弾力性のある音楽が奏で上げられています。流麗であり、艶やかな演奏となってもいる。まろやかな質感を備えてもいる。そんなこんなのうえで、プレートルならではの逞しい生命力を帯びた音楽が鳴り響いている。とは言いましても、力づくなところは微塵も感じられず、愛情豊かに、そして、ゆとりを持って奏で上げられている。

プーランクの音楽に接する歓びを噛み締めることのできる素敵な演奏。しかも、プレートルの美質と、パリ管の魅力に溢れてもいる。
この曲は、プーランクの作品の中では比較的マイナーな存在だと言えるかもしれませんが、多くの音楽愛好家に聴いてもらいたい、素敵な素敵な音盤であります。