サロネン&ロス・フィルによるドビュッシーの≪海≫を聴いて
サロネン&ロス・フィルによるドビュッシーの≪海≫(2008年ライヴ)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
明快な演奏が繰り広げられています。
スッキリと纏められていて、見通しが良い。キリッとしていて、贅肉のない演奏ぶりが示されています。濁りのない、純度の高い演奏だとも言えそう。抒情性の高い演奏となってもいる。
なるほど、力感が強い、といった演奏にはなっていません。しかしながら、決して痩せぎすな演奏となっている訳ではなく、適度な膨らみが感じられる。過度に音楽を煽るようなことはなく、押しつけがましさもなく、丹念で端正な音楽づくりが為されている。
更には、ドビュッシーの作品に相応しい精妙な音楽世界の広がる演奏だとも言いたい。暖かみを帯びた演奏ぶりでありつつも、清涼感があり、冴え冴えとした演奏となってもいる。
そんなこんながバランスよく同居している演奏。そのようなこともあって、聴き応え十分であり、かつ、とても聴きやすい演奏となっている。
強引なところが皆無な、また、こけおどしなところが全く感じられない、誠実にして率直な演奏。しかも、やるべきことはキッチリとやっている演奏だとも言えそう。そのうえで、ドビュッシーを聴く愉しみもシッカリと享受できる演奏となっている。
サロネンの音楽センスの豊かさが感じられる、素敵な演奏であります。