クレメンス・クラウス&ウィーン・フィルによるJ・シュトラウスIIの≪こうもり≫全曲を聴いて

大晦日には、J・シュトラウスIIの≪こうもり≫全曲を。ということで、クレメンス・クラウス&ウィーン・フィルによる演奏(1950年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

台詞を挟まずに、音楽のみで紡ぎ上げた全曲演奏となっています。
なお、第2幕の終わり間近での舞踏シーンでは、ワルツの≪春の声≫が演奏されています。

主な配役は、下記の通り。
アイゼンシュタイン:ユリウス・パツァーク(T)
ロザリンデ:ヒルデ・ギューデン(S)
ファルケ:アルフレード・ペル(Br)
アデーレ:ヴィルマ・リップ(S)
オルロフスキー公爵:ジークリンデ・ヴァーグナー(A)
アルフレード:アントン・デルモータ(T)

C・クラウス&ウィーン・フィルが織りなす、高貴で甘美な音楽。
このオペレッタならではの心弾む要素を十分に備えていつつも、ここで繰り広げられている演奏は、誠に瀟洒なものとなっています。更には、とても薫り高い。とろけるような甘さを湛えてもいる。そして、凛としてもいる。
聴くものを夢見心地に誘う≪こうもり≫。それとともに、聴いていて恍惚としてくる。まさにウィーン情緒を満喫できる演奏だと言えましょう。
しかも、単に情趣に溢れているだけではなく、十分なる躍動感を備えていて、生気に満ちているところが、なんとも素晴らしい。
歌手陣は、今となっては古めかしさが拭えない歌いぶりではありますが、柔らかみを帯びていて、情緒たっぷりで、耽美的な歌が繰り広げられています。それがまた、この演奏に独特の味わいをもたらしてくれている。

晴れやかな気分にさせてくれる≪こうもり≫が鳴り響いている。そんなふうに言わずにはおれません。そして、スッキリとした気持ちで年を越すことができそう。
きたる2026年が、皆様方にとりまして、そして、私にとりましても、実り多き、素敵な年となりますように‼︎