トスカニーニ&NBC響によるシューマンの≪ライン≫を聴いて
トスカニーニ&NBC響によるシューマンの≪ライン≫(1949年録音)を聴いてみました。
トスカニーニならではの、毅然としていて、かつ、明朗な演奏が展開されています。
とは言いましても、トスカニーニにしては、それほどまでに切れ味鋭い演奏にはなっていない。過度に熱狂的だということもない。むしろ、おおらかな雰囲気が漂っています。それでもやはり、必要十分に強靭で、逞しくて、勇壮で、輝かしい。凝縮度が高くもある。
なおかつ、燦々たる光が差し込んできているかのようなでもあります。それも、かなり強い日差しが。
この曲は、シューマンの作品の中でも快活な曲想を持っている音楽だと思うのですが、そのような性格を見事に表出してくれている演奏だと言えましょう。歌心に溢れていて、明朗な音楽世界が広がることとなっている。流麗でもある。
しかも、ドラマティックであり、ロマンティックな音楽が鳴り響いている。更には、作品自体が持っている「うねり」や「押しては引く波」が見事に表されている演奏だとも言いたい。
そんなこんなのうえで、トスカニーニらしく端正な演奏ぶりとなっている。
聴き手を吸引する力が頗る強く、聴いていて心がときめいてくるような演奏。更には、作品の魅力を存分に味わうことのできる演奏となっている。
見事な、そして、聴き応えの十分な、素晴らしい演奏であります。