カザルス&セル&チェコ・フィルによるドヴォルザークのチェロ協奏曲を聴いて

カザルス&セル&チェコ・フィルによるドヴォルザークのチェロ協奏曲(1937年録音)を聴いてみました。

カザルス(1876-1973)が61歳になる年の録音。歴史的名盤の誉れの高い1枚であります。
ここでのカザルスによる演奏は、実に力強くて、精悍で、雄弁で、雄大。気魄が漲っていて、熱気に溢れてもいる。まさに、渾身の演奏だと言えましょう。偉容を誇る演奏だと言っても良いように思えます。
しかも、ただ単に力強いだけでなく、音楽のフォルムが全く崩れておらず、気品に溢れています。毅然としてもいる。凝縮度が極めて高くもある。
更に言えば、暖かみがあって、慈愛に満ちてもいる。エネルギッシュでありつつ、リリカルでロマンティックでもある。そう、この作品が宿している郷愁も、過不足なく描き出してくれています。
感興が豊かで、人間味に溢れた歌に満ちている演奏。そのうえで、決然と音楽が聳え立っている、と言いたくなるような演奏となっています。
そのようなカザルスをサポートするセルは、この年ちょうど40歳。壮健で、生気に溢れていて、感興豊かな演奏内容で、カザルスを見事に盛り立ててくれています。

歴史的名盤との世評が良く解る、素晴らしい演奏であります。
いやはや、偉大な演奏であります。