ワルター&ニューヨーク・フィルによるベートーヴェンの交響曲第2番を聴いて

ワルター&ニューヨーク・フィルによるベートーヴェンの交響曲第2番(1952年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

実に輝かしい演奏であります。豊麗にして、艶やかな演奏であります。強靭な演奏でもあります。こういったことは、1950年前後でのニューヨーク時代のワルターの演奏の多くに見られる特徴だと言えましょうが、この演奏にも、そういった性格がクッキリと刻まれている。
その一方で、第2楽章に顕著であるように、慈しみのある演奏にもなっています。なんとも言えない暖かみが感じられ、薫り高くもある。そして、心に沁みてくるような歌心に満ちている。
また、これは全編を通して言えることなのですが、この作品に相応しい、優美さと壮麗さとが融合された演奏が繰り広げられている。その結果として、明朗にして快活な音楽世界が広がることとなっている。

端正で芳醇で、かつ、人間味に溢れている演奏。躍動感にも満ちている。そのような演奏ぶりを通じて、この頗るチャーミングな作品の魅力を、思う存分に味わうことができる。そのうえで、格調の高い佇まいや、迸る情熱が感じられる音楽を堪能することもできる。
聴いていて惚れ惚れとしてきて、かつ、心が弾んでくる、なんとも素敵な演奏であります。