フランチェスカッティ&ミュンシュ&フランス国立放送管によるサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番を聴いて

フランチェスカッティ&ミュンシュ&フランス国立放送管によるサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番(1951年 ライヴ)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

フランチェスカッティらしい、美音を駆使しながらの、凛とした佇まいを見せた演奏ぶりが示されています。とても清らかであり、格調高くもある。
それでいて、ライヴだということもあるのでしょう、体当たり的で、アグレッシブな演奏ぶりとなってもいます。そのようなこともあって、ただ単に甘美な音楽世界が広がるというよりも、峻厳な音楽が奏で上げられることとなっている。彫りの深さが感じられもする。基本的にはまろやかで艶やかでありつつも、そこにストイックさが宿っているとも言えそう。とても真摯な演奏ぶりとなってもいる。

そのうえで、この作品が持っている「妖艶さ」のようなものもシッカリと描き出されていて、十分にロマンティックでもあります。第2楽章に顕著なように、歌心に満ちてもいる。
そのようなフランチェスカッティに対して、ミュンシュがまた、恰幅の良い音楽を奏で上げてくれています。骨太であり、逞しくもある。この演奏から窺えるフランチェスカッティのアグレッシブさは、ミュンシュに触発されたものでもあるのかもしれません。しかも、ミュンシュの音楽づくりもまた、力づくな訳ではなく、凛々しさが感じられる。伸びやかで晴朗でもある。

この作品の魅力と、フランチェスカッティとミュンシュの美質とを存分に味わうことのできる、聴き応え十分で、なんとも素敵な演奏であります。