ムーティ&フィラデルフィア管によるプロコフィエフの≪ロメオとジュリエット≫抜粋を聴いて

ムーティ&フィラデルフィア管によるプロコフィエフの≪ロメオとジュリエット≫抜粋(1981年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

このコンビならではの、華麗にしてゴージャスで、なおかつ、詩情豊かな演奏となっています。色彩感に満ちていて、グラマラスでドラマティック。それでいて、単に開放的な演奏になっているのではなく、切迫感を持った演奏となっている。表情は毅然としている。必要十分にリリカルでもある。
かように、大きな起伏の採られている演奏が繰り広げられています。とてもロマンティックでもある。
概して、音楽の運びがキビキビとしていて、音楽が存分に弾んでいて、躍動感に溢れている。そのうえで、歌心に満ちている。煽情的であり、艶美でもある。剛毅で豪快で、しかも、丹念な演奏だとも言いたくなる。そんなこんなによって、聴いていて、胸のすく思いのする演奏となっています。
そのような演奏ぶりが、このバレエ音楽の音楽世界には、誠に似つかわしいと言えましょう。とりわけ、「タイボルトの死」では、頗る激情的であり、かつ、昂揚感の高い演奏が繰り広げられている。
しかも、フィラデルフィア管が、なんとも魅力的。このオケならではの、煌びやかな響きが全開となっています。なかでも、木管楽器を中心としたソロの、なんと巧みなこと。聴いていて、惚れ惚れとしてくる。また、金楽器群は、誠に輝かしい。更に言えば、弦楽器は、バリバリと弾いてゆくような場面も多いのですが、決して雑にならずに、潤いのある艶やかな音を響かせてくれている。

ムーティ&フィラデルフィア管の魅力がギッシリと詰まっている、もっと言えば、オーケストラ音楽を聴く歓びをタップリと味わうことのできる、なんとも素敵な演奏であります。