上賀茂神社での賀茂競馬見物と、デ・ヴィート&フルトヴェングラー&トリノRAI響によるメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲

今日は、上賀茂神社へ賀茂競馬(かもくらべうま)を見物してきました。こちらも、下鴨神社での流鏑馬と同様に、葵祭の神事の一つになります。
2頭の馬が、一直線の馬場を駆け抜けて勝敗を争うのですが、スピードの速さに圧倒されました。

さて、紹介します音楽は、デ・ヴィート&フルトヴェングラー&トリノRAI響によるメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲(1952/3/11ライヴ)。
この4日前の3/7には、同じ顔合わせでブラームスのヴァイオリン協奏曲も演奏されていまして、そちらの録音も残されています。

ここでのメンデルスゾーンはと言えば、振幅のとても大きな演奏となっています。熱くて、繊細で、ロマンティックである。このことは、独奏についても、オーケストラについても、当てはまる。
晩年のフルトヴェングラーの演奏でありつつ、気魄の籠っていて覇気の漲っている演奏ぶりが示されています。そこには、トリノRAI響から若さを貰っている、といった要素もあるのかもしれません。アグレッシブであり、緊張感に満ちていて、音楽に「ハリ」がある。体温が頗る高くもある。
テンポを大きく揺らすということは無いのですが(それでも、小さな幅での揺れは随所で見せている)、場面場面での音楽におけるエネルギーの増減はとても大きい。作品にピッタリと寄り添いながら。それ故に、実にロマンティックな音楽が鳴り響くこととなっている。と言いつつも、甘ったるさがなく、緊張感の高い演奏となっているところが、いかにもフルトヴェングラーらしいと言えましょう。
そのようなフルトヴェングラーを相手に、デ・ヴィートは真摯で、かつ格調高い演奏を繰り広げてくれています。ニュアンスの変化がとても細やかでもある。しかも、かなり体当り的。それでいてやはり、格調の高さが漂っている独奏となっている。その先に、凛としたロマンティシズムが感じられてくるところがまた、なんとも見事。
その一方で、最終楽章の冒頭部分など、音を軽やかに跳ね上げるように弾いていて、実にチャーミングで、印象的でもあります。この箇所に限らず、最終楽章でのデ・ヴィートによるソロは、コケティッシュな素振りを見せることが多い。

大いに煽情的であり、自在感に富んでいて、かつ、聴後にずしりとした手応えの残る、素晴らしい演奏であると思います。