サヴァリッシュ&フィラデルフィア管によるR・シュトラウスの≪ツァラトゥストラかく語りき≫を聴いて
サヴァリッシュ&フィラデルフィア管によるR・シュトラウスの≪ツァラトゥストラかく語りき≫(1993年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
サヴァリッシュならではの堅実な音楽づくりと、フィラデルフィア管の華麗な響きとが融合された、聴き応えの十分な演奏となっています。
そのうえで、気宇の大きさの感じられる演奏となっている。壮麗で艶やかでもある。そういった雰囲気は、R・シュトラウスの音楽に誠に似つかわしい。
しかも、必要以上に開放的であったり、散漫であったり、といった演奏にはなっていません。凝縮度が高く、この作品に特有の厳粛さを秘めてもいる。
それでいて、堅苦しい音楽になっている訳ではなく、音楽が滑らかに流れていている。そう、頗る流麗な音楽が奏で上げられているのであります。過剰に派手なものになっている訳ではないものの、適度に煌びやかでもある。官能味の濃い音楽となってもいる。そのうえで、彫りの深さが感じられもする。
そんなこんなによって、響きにおいても、構成面においても、充実度の高い音楽が鳴り響くこととなっている。
これらのことは、フィラデルフィア管の体質と、サヴァリッシュの志向とが、化学反応を起こした結果であると言えるのではないでしょうか。
作品そのものをジックリと聞かせてくれつつも、R・シュトラウスの作品ならではの「オケを聴く歓び」を堪能させてくれる演奏となっている。
このコンビであればこそ、といった特徴がよく出ている、素敵な演奏であると思います。